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ザ・ポンプ(1989年)

80s

リーボックのハイテクスニーカーが誇る画期的なシステムは?という質問に対してほとんど全員が答えるのが”ポンプシステム”であることは明確である。

 この記事の主役である”THE PUMP”というスニーカーは”アッパーに空気を送り込む”という、発売された当時としても発売から数十年がたった今で考えたとしても画期的で独創的なアイデアから生まれ、やがてリーボックの代名詞となったポンプシステムを搭載した初めてのスニーカーとしてリリースされたスニーカーである。

 このスニーカーが各スポーツブランドが様々なテクノロジーを開発し、競い合っていた80年代後半の”スニーカーフィッティング戦争”を制したと言っても過言ではない。


 1980年代のスニーカー界の風潮として顕著だったのは、ナイキだとエアフォース1が発売されるなど、各スポーツブランドが熱心に取り組んでいたことに、衝撃吸収に重きをおいた”クッショニング性能”テクノロジーを開発し競い合っていた時代だったと言うことができる。

1980年代の後半に差し掛かると、スポーツシューズブランドによるクッショニング性能の開発競争は落ち着きをみせ、各ブランドは次に”フィッティング性能”に重きを置き、新たなテクノロジーの開発に取り組むようになる。

 新たなジャンルのテクノロジー開発競争が繰り広げられていた真っ只中である”1989年”のサンクスギビングデー(感謝祭)のタイミングで、ナイキは”エア・プレッシャー”をリリースし、リーボックは満を辞して”ザ・ポンプ”を世に送り出す。 

 リーボックがリリースしたこのシューズの最大の特徴は、アッパー内に空気を溜め込む部屋のような部分があり、そこに外部から空気を送り込むことによってシューズ本体と足をフィットさせるという、スニーカーとしてのフィティングへの概念を壊したテクノロジーであることは明確である。


 この新たなスニーカーテクノロジー開発競争である”フィッティング開発競争”に勝利したのは、言うまでもなくリーボックだった。

実は、ナイキがリリースしたエア・プレッシャーにも空気を溜め込む部屋のようなものは存在していた。しかしそれは足首部分にだけ設けられており、そこに空気を送り込む方法として付属の道具が必要だった。 それに対し、リーボックがリリースしたザ・ポンプにそのような付属の道具は必要なく、空気の入れ方はシュータンに設置されたコンプレッサーを数回押すだけでよかった。 しかも爪先以外の全ての部分でフィッティング調整が可能ということでその性能の違いは誰が見ても歴然だったこともあり、売り上げの面でリーボックがナイキを圧倒した。

ナイキ エアプレッシャーimage from/kianush.com
リーボック ザ・ポンプ

リーボックがナイキを圧倒したその当時を象徴する話としてよく言われているのが、

ニューヨークのとある大手スポーツ用品店でのリーボックの売り上げは、ナイキの売り上げの8倍だったそうだ。


 ザ・ポンプをリリースしたことで、当時のスニーカーフィッティング開発競争に完全勝利することとなり、その後も”ポンプテクノロジー”が搭載されたスニーカーが、テニスやエアロビクス、ランニングなど多くのカテゴリーでも発売されることとなる。

 その中の一つにリーボックの存在をさらに上のステージに押し上げることとなり、今ではリーボックの顔の一つでもある”ポンプフューリー”もある。



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